福祉住環境コーディネーターとして建築の仕事に携わる場合

建築業界でのニーズ

福祉住環境コーディネーターは建築業界でも活躍しています。業務の幅を広げ、顧客を獲得することを目的に、多くの建築士が資格取得を目指しています。建築業界で福祉住環境コーディネーターのニーズが高まっているのには、いくつかの理由があります。まずは、「福祉施設の建設時に必要な知識を得るため」です。戸建て住宅やマンションだけでなく、介護施設の設計や管理を請け負っている場合、福祉に関する知識が求められます。近年はニーズが多様化しているため、より高い専門性が必要となります。個人宅であっても、バリアフリー設計の住居が増えています。健康な人にとっては気にならない段差であっても、高齢者や障がい者にとっては大きなハードルとなり得ます。すべての人にとって快適な住環境を提供するためには、福祉住環境コーディネーターとしての知識が必須なのです。
建築の知識に偏ってしまうとデザイン性だけが重視され、健康な人のみが暮らしやすい施設になってしまいます。本来必要とされている設備や環境を揃え、事故を未然に防ぐという観点からも福祉住環境コーディネーターは重要な役割を担います。

各分野との連携がスムーズになる

福祉住環境コーディネーターは医療・福祉・建築・行政など各方面の立場を理解しています。総合的な観点から、最も必要な要素を判断できる存在です。幅広い知識を用いて顧客に様々な提案をし、最適なプランを作成します。福祉用具や施策情報についてのアドバイスができるので、顧客側も施設運用が開始した後の具体的なイメージを持てます。特に、介護・福祉施設の建築においては各分野との連携強化が求められます。設計事務所だけでなく、それぞれの分野にとって不可欠な存在なのです。

幅広い知識で業務を遂行できる

住環境のアドバイスだけでなく、福祉用具や介助用品の提案を行うのが福祉住環境コーディネーターの仕事です。高齢者や障がい者にとって快適な住環境を提案するにあたって求められるのは幅広い知識です。資格があれば、バリアフリー住宅の新築や改修の際に、福祉用具や家具の設置、利用方法、関連制度を直接提案できます。
また、厚生労働省から認められている業務として、「住宅改修費支給の申請に関わる理由書の作成業務」があります。福祉住環境コーディネーター2級以上に認められている業務です。本来であれば介護・医療の専門職に依頼しなければならない業務を設計事務所側で行えるメリットがあります。